京都要庵歳時記 『六道まいり 精霊まいり』(3) |
この妙案は女将が叔母から教えてもらい感心しました。生きた知恵ですね。先ず最初に『迎え鐘』をつきます。この鐘の音は中国の唐まで響いたという伝説があることから、冥土まで届くだろうと信じられ、お精霊さんを呼び寄せる迎え鐘として、千年以上にわたって先祖の霊を迎え続けています。尚、この迎え鐘はいつでも鳴らす事が出来ます。
主人と女将はぞれぞれ鐘を鳴らし終え、次に水塔婆を線香の煙で清め、五百体もの石仏が並びます『賽の河原』と呼ばれる場所で、水塔婆を高野槙の穂で水向けをします。これは古くから高野槙が霊木として知られ、盆には高野槙の葉に乗ってお精霊さんが戻ってくると言われることに由来します。高野槙は家に持って帰って仏壇に供える風習もあります。この水塔婆の水向けは、六道まいりの時だけの歳時ですので、多くの方が並ばれるわけです。
(8月14日 要庵 主人書)