京都要庵歳時記 『夏のひのき風呂・浴室の普請』 |
建物は生き物
昨年・師走に1階『葵』と2階『篝火』のひのき風呂の外側は坪庭に面して
いるために雨風にあたり、長年の雨の影響があり、どうしても木が水に侵され、
虫歯のような空洞状態になっていましたので、普請をして新しく取り替えました。
やれやれと思っていたら、7月は1階横笛の部屋の浴室の木枠の普請です。
どうせ直すのであれば早い方が、美しさを1日でも早くお客様に味わう、
意心地も良く、何事も早め早めの処置が美しく保つコツと考えていますので、
早速普請をしました。
木のぬくもり
部屋・ひのき風呂の浴室の窓はアルミサッシにすれば水による浸食は少ない
ですが、木枠ですので、どうして湯気や水分で隅に水が溜まり腐食して
虫歯状態になります。傷むのも最初から計算に入れなければなりません。
しかし、それでは色気がなく横笛の部屋・庭の窓も同様ですが、木のぬくもり・
温かさ・優しさはアルミサッシよりは比較にならないくらい部屋に落ち着きを
与えます。それは柔らかい数寄屋の部屋の素晴らしさであり京都の大切な文化です。
伊達建築工房・伊藤さん
その文化を要庵西冨家は守っていかなければなりません。24日・祇園祭・
後祭りの山鉾巡行も終わり、事前に依頼していた伊達建築工房さんが早速、
傷んだ箇所を普請してくださります。師走同様に伊藤さんが来てくださり、
手早く・正確で・美しく修理してくださりますが、コッポリと穴が空いて
いるのを見ると長年の水による力は凄いです。
蚊取り線香に囲まれて
普請のおかげで見事に再生いたし、素晴らしい手仕事によって美しさが蘇えりました。
後手後手でなく先手先手で修理することが美しさと丈夫さを保つコツで、このことは
普請や修理だけでなく何事にも言えますすが、アルミサッシにすればこのような浸食
はないですが、サッシと木枠では風情が違います。利便性だけを求めるのではなく、
風情・文化を大切のすることが本物ではないでしょうか?。蚊が飛ぶ中、蚊取り線香を
3台置きながら汗タラタラの仕事、本当にありがとうございます。
(平成26年 7月29日 要庵主人書)