京都要庵歳時記「晩夏から初秋への室礼」(1) |
晩夏から初秋へと季節が移る中、要庵西冨家の室礼もそれに習います。先ず叔母が「虫供養」を飾り、胡瓜と茄子、虫の大好物のお供えを準備します。京都では「虫供養」とは夏の虫を供養するのではなく、「夏の恋」を供養します。「夏の恋」を供養する???。今では考えられないことですが、その昔、平安時代に夏のような燃え上がる恋をし、はかなくも悲しく終わった男女の恋を供養したのでしょうか。
愛し合っても一緒になれない、愛する思いが相手に届かない……。それは、平安時代でも21世紀の現代でも同じかと思います。いや、平安時代の方が今よりもず~っと純粋で情緒があったと思いますね。でも、封建的な時代のこと、燃えるような恋の果てに、恋人どうしでは、どうしても越えることの出来ない、家柄、立場の違いが、やがて悲恋に……。源氏物語や古典からも読み取ることが出来ますね。
(平成23年 8月31日 要庵 主人書)