京都要庵歳時記「端午の節句 菖蒲湯」 |
5月は子供の日、端午の節句であり、新緑が美しい季節です。草木の新しい芽吹きから生き生きとした力を与えられますので、主人は桜の季節以上に好きな季節です。東福寺の紅葉も素晴らしいですが、新緑の紅葉も本当に素晴らしい!!と女将もお客様に奨めています。さて端午の節句ですが、京都では平安時代の宮中では5月5日の5日節句(端午)に、厄除の魔力を持つとされている菖蒲や薬玉が献じられました。
そして鎌倉時代になりますと、武家の間で兜に菖蒲やヨモギの花を付けて邪気を祓い、武事に勝つことを祈って男の子に与える等、5月5日に尚武に関する風俗が起こりました。そして江戸時代には一般にも男の子のたくましさを祝う日に定着して、明治・大正・昭和と軒先に菖蒲を差したり、菖蒲湯に入るなど厄祓いの風習が残っていました。
しかし、平成23年のこの時代、そのような風習は皆無になってきました。家の軒先も無くなってきたくらいです。要庵西冨家では5月になり、ゴールデンウイークの期間は少しでも古き良き風習とお客様の厄祓いを願いまして、各部屋と男性・女性様の浴室に菖蒲を入れています。どうか、ひと時、菖蒲湯につかってくださりお客様の厄除けに一助になればと願います。
(平成23年 5月2日 要庵 主人書)