京都要庵歳時記 『要庵 お正月のしつらいの準備・・・玄関飾り』(5) |
幕に注連縄を吊りますと、一段とお正月らしくなりますね。以前は玄関に門松を置いていましたが、8年前からは、主人が北野天神さんで買って大切に育てた根松を門松に代えて置くようになりました。それにしても最近の京都では、門に門松を置いている家やお店が本当に少なくなりました。時代の流れですが、寂しいです。根松は、おめでたい松に根が付いているので、良いことが続き(根付く)ますようにと父から聞かされました。
玄関の床の間は女将が飾ります。三種の神器のひとつ「やたの鏡」を模した鏡餅です。古来、神前には円形の鏡をおいて祀るのが日本の礼式であったし、餅も神前の捧げ物として古くから用いられてました。室町時代に武家の床の間の出現で、鏡餅は単なる床飾になり、この床飾りが後世、鏡餅飾りとなって広く普及し、特に正月飾りとして、欠かす事のできないものになったそうです。
鏡餅の上に置かれる、お昆布は「慶ぶ」、橙は「代々栄える」を意味しています。新しい年を迎えることにより、「その年に希望を持ち、良い事がたくさんあって続くように!!」と願う風習が今でも続けられています。こうして大晦日に要庵のお客様を迎えさせていただくことに、主人も女将も、お客様に心より感謝いたします。
(平成17年大晦日 要庵 主人書)