京都要庵歳時記 『京都の夏の古き良き歳時 六道まいり』 お精霊さんのお向え 5 |
高野槙は昔から霊木として知られ、盆には高野槙の葉に乗ってお精霊さんが
戻ってくると由来され、高野槙は家に持ち帰って仏壇に供える風習もありますが、
この水塔婆の水向けは、六道まいりの時だけの歳時です。
主人が高野槙で清めた水塔婆は、8月17日にいとなわれる施餓鬼法要後
に境内で梵焼されます。こうして、六道珍皇寺で迎えられた『お精霊さん』は
8月16日の大文字山をはじめ五山の送り火で再び冥土へと帰って行きます。
約千年前の歳時が延々と継がれていることは、京都ならではの文化財産です。
次の世代への伝承
要庵西冨家で六道まいりの歳時は、祖母から叔母へ、そして女将と代々
伝えられて来ました。毎年、8月に要庵歳時記で紹介しましたが、写真に
写ってる人物は老人ばかりで女将が若いくらいです(それでも50代です・・・苦笑い)。
娘の年代なんか?論外です。この素晴らしい伝統ある歳時が、次の時代の人々に
継がれいくか?とても心配です。『このような歳時をしても何があるの?。』と
若者から言われそうです。
その中で、今年は娘が女将と一緒に参詣してくれたことに、心よりうれしく思います。
京都ならではの素晴らしい歳時
時代が変われど、素晴らしい歳時や風習は若い人が受け継ぐことを真剣に
考えなければならないでしょう。これは伝統的な歳時だけでなく、『商売』に
関しても同じことが言えます。現在、昭和時代の商いが限りなく減少しています。
産業が店がなくなり寂しく悲しいことです・・・・・・・。
要庵西冨家の玄関磨きと同様に、夏の六道まいりをしなければ、不思議と
心が落ち着きませんし、夏が来たな~~と感じませんね。
(平成25年8月21日 要庵 主人書)